小笠原流「礼法」ワークショップ
礼法のワークショップを、
少しだけご紹介いたします。
今回はNPO法人七五の理事長・近衞忠大が、
小笠原流・弓馬術礼法小笠原教場にお伺いし、
体験させていただきました。
小笠原:では、お辞儀の仕方から。
まずは、真っ直ぐに立っていただきます。
日常生活で、携帯や本を見ていると、どうしても頭が前に傾きますよね。
耳が肩の真上に来るようにします。
真上を見てください。
近衞:はい。
小笠原:真上を見たときに、後ろの首すじを伸ばすようにして、前へ向きを変えていく。
あとは、おへそのちょっと下らへんを、キュッと縮める。
そんな気持ちになっていただくと、体って結構真っ直ぐになります。
近衞:本当ですね。
小笠原:次に、手をポンと足に軽く当ててください。
指は、水をすくうイメージです。
水をすくう時って、5本の指が全部揃いますよね。
これがまず、「立つ」です。
近衞:はい
小笠原:そこから腰をただ曲げてみてください。
腰を曲げて、ちょっと戻しましょう。
ただ腰だけを曲げてみると、手ってブラーっと前へいってしまいます。
これだとあまり格好よくないので、足の方にぺったと手を戻します。
小笠原:これが自然に腰を曲げた時に、手や頭がいく位置になります。
体を曲げながら、そこに手がいくと、自然な体の動きになるんですね。
先ほどのお腹は、イメージを持ちづらいと思うので、こんなことをやりましょう。
近衞:水が入っている!
小笠原:はい。これを持っていただいていいですか。
何歩でもいいので前に進んでください。
こぼさないように。
そうすると、自然とこの辺に気持ちがいきますよね。
それが、おへその下らへんに気持ちを置く、と言うことなんですね。
「武士の学校」では、これを持って競走していただこうと思っています(笑)。
近衞:それは楽しそうですね(笑)。
小笠原:どうしても今の方は、腰で動くことができないんですよ。
なので、実際にこれを使って体感していただきます。
一度掴めば、ご家庭でお食事の準備やお手伝いでこぼさなくなりますよ。
近衞:なるほど。それはやはり体幹の意識、そういうことですか。
小笠原:そうですね。
礼法で体験していただくのは、いわゆるマナーではありません。
武士はこんな考えで動いていたと言うのをご理解いただきたいと思います。
近衞:武士の動きというのは、いつ、どこから攻められてもというものですか?
小笠原:そうですね。
別の言い方をすれば、体を合理的に使う、ということです。
例えば、綱引きをする時は、腰を落とした感じでぎゅっと握りますよね。
つまり、腰を落とせばそれだけ力が入るわけです。
だけど、現代の生活では、どうしても腕の力に頼ってしまいます。
それでは、体を上手に使いこなせていないんです。
武士は、重たい鎧を着て戦っていました。
体を合理的に動かさないと、負けてしまいます。
近衞:なるほど。
小笠原:体を合理的に使うことを、体験を通じて理解していただく。
今の言葉では、「体幹を使う」ということになります。
近衞:立ち方や歩き方があって、弓を引くことは次の段階ですもんね。
小笠原:そうですね。
それが、弓術なり、流鏑馬なりに繋がっていきます.......